始皇帝暗殺The First Emperor
始皇帝暗殺The First Emperor
始皇帝が泰の政だった頃の物語。しかしラストエンペラーと違って、完全な中国映画となっている。全編中国語。特撮などの娯楽性は低い。カンフーもないので香港は絡んでいない。各国での題が面白い。中国では「荊軻刺秦王」。荊軻の名は中国では英雄としてかなり有名らしい。それで題に織り込んである。フランスが「THE ASSASIN」単に「暗殺者」。この題ではフランスでは「ニキータ」を想像させるだろう。アメリカでは「THE FIRST EMPEROR」。当然「ラストエンペラー」との対峙だろう。そして日本が「始皇帝暗殺」。まだ始皇帝になっていないしあれが暗殺か?と言う感じだが、「泰の政」では日本人は分からない。物語は政の寵愛を受けた趙姫を軸に進んでいく。寵愛と言うがほとんど寝を共にしていない。彼女は政の理想に惚れていたのだ。燕を攻める理由がないと言う政に「ならば燕に暗殺者を送らせましょう」と趙姫。燕に赴き暗殺者を捜しているなかかつての名うての暗殺者荊軻に出会う。しかし彼は「人は絶対に殺さない」という。過去に目の前で自害した盲目の少女が忘れられないでいた。そんな荊軻を心底愛してしまう趙姫。そのころ政は、人は殺さないと言う約束を破り、趙の国を滅ぼす。子どもを生き埋めにしてまで…それを知った趙姫は荊軻にすべてを話す。そして荊軻は、政のいる咸陽宮に刺客となって赴く…東京ドーム六個分という咸陽宮はすべてセット。叛乱を起こしたニセ宦官長信侯を取り囲んで矢責めにするシーンで効果的に使われている。彼は何と政の母と密通していた。そして政の出生の秘密も知っていた。実は趙姫は史実には現れない。が、映画としては是非必要なキャラクターだ。「一族根絶やし」の怖さを知った。人をたくさん使った戦闘シーンは壮絶。しかし、もうすこし王様としての華やかさ・壮大さを表すシーンもほしかった。その分荊軻はかなりかっこよく描かれている。(姿・形はホームレスのようだけど…) ☆☆☆☆